「ボランティア」と「アルバイト」を組み合わせた俗語として世の中に浸透しつつあるボラバイト。
ネット上ではその働き方について様々な批判が寄せられています。
☑「違法なんじゃない?」
☑「時給換算したらとんでもない額だった!」
☑「体験重視だから低賃金労働なのにガッツリ働かされた…」
さすがに言い過ぎじゃない?
そのような声も聞こえてきそうですが、現在進行形でサイト内には凄まじい給料の求人が並んでいます。
その数と実体験者のレビューから、言ってることも「あながち間違いではないのかなー」なんて思ったりもしてます…
今回はボラバイトが「なぜネット上でこれほどまでに批判を受けているのか」「この賃金に違法性はないのか」それらグレーな部分について解説していきます!!
Contents
ボラバイトの定義が曖昧すぎる
この【ボラバイト(volubeit.com)】は、サンカネットワークという会社が運営しています!!
運営会社曰く、ボラバイトの定義は以下の通りです
ボランティア(自主的に)+アルバイト(働く)=ボラバイト
ボランティア(volunteer)とアルバイト(arbeit)を合わせた造語です。
ボラバイトは、全国の若い世代を元気にしたいという想いから
1999年に株式会社サンカネットワークが新しい働き方の一つとして立ち上げました。
農家や宿泊施設などを中心に、様々な現場が人手を必要としている時期に伺い、経験したことがない仕事の体験や、地方の人々との交流が働き手にとって自己肯定感・自己有用感を高められるような、人生の貴重な体験の一つとなる事を目指しています。
※ボランティアという言葉は「自主的に」という意味合いで 「無償奉仕」という意味合いでの使用はしておりません。
ボラバイトは有償ボランティアではなくアルバイトに該当します。
出典:ボラバイトHP
本文では「人生の貴重な体験の一つとなることを目指しています」と明記されています。
このことからボラバイトは「労働より体験に重きを置いたサービス」であることが分かります。
また、ボラバイトは「有償ボランティアではなくアルバイトに該当します」とも記述してあります。
有償ボランティアといえば、支援に際して誠意として「少額の謝礼を受け取る」とてもあいまいな関係で、労働というより「手伝う」というニュアンスが強く含まれる言葉ですが、上記の文からはアルバイトとして「労働してもらう」というニュアンスが伝わってきます。
非常にあいまいです、あえてそのように記載しているかのよう…
表向きは体験に重きを置くが、実際はしっかりと働いてもらう、低賃金で…
そう取られてもおかしくない定義です。
自治体の定める最低賃金を大きく下回る
ボラバイトがネット上で叩かれる理由に賃金が低すぎる点があります。
以下の仕事詳細をご覧ください。
サイト内にはこんな求人がゴロゴロしているんです💦
実働9時間、日給4000円!!
業務は乳牛飼養管理、牛のお世話を9時間してこんだけです…
しかも、これ労働時間5:30~20:30分となってます。
何回か中抜けあるパターンですよ…
この求人は3食がボラバイト先で提供されることから、ヤバいなりにもまだマシです。
なかには食事なしでこの賃金のところもあります…
こんな求人が堂々と掲載できてしまうのは、漆黒の企業戦士である僕でもさすが動揺しますね。
それに、不信感を覚えるのはこの日給の横の「?」マークです。
ここにカーソルを合わせると以下の文章が出てくるんです…
ボラバイターの得る対価について、最低賃金法に定められた最低賃金を最低基準としておりますが、その場合の対価にはボラバイト先から提供される食事(食材)と宿泊先も含まれることになります。なお、ボラバイト情報に掲載されたボラバイト料は、対価としての食事と宿泊先の提供を含めないボラバイターの現実の受取金額と理解してください。
出典:ボラバイトHP
簡単にいうと、こう書いてあります。
☑ 賃金に食事(食材)と宿泊費も含まれる
☑ 食事や寮の提供がない場合は賃金を相当額上乗せする
はじめっから寮費と食費を引く前提で雇い、生活費がかからないを謳い文句にして人を雇っている、そうとられてもおかしくない内容です。
この明記が正しいとするならば、寮費と食費は何を基準に算出されているのか知りたいところですよね。
【例】
これは別の求人、サクランボの収穫作業なんですが、食事が「自炊・その他、宿舎から1kmの距離にスーパーあり」で済まされています。
時給が611円に上がっていますが、この地域の最低賃金は861円。
1時間あたり約250円の差額、8時間労働とすれば2000円、1日あたり2000円の寮費が引かれていることになります。
光熱費はかかりませんから、最低賃金ベースとすると妥当なんでしょうね…
最低賃金でも法的には違法性はない
残念ながらこれほどの低賃金でも法的に問題ありません。
その理由は、家賃補助や食事補助は賃金に代替可能だからです。
【最低賃金の対象となる賃金】
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
出典:厚生労働省HP
最低賃金の対象となるのは以上の6点、期待するものは含まれてはいないんです。
おそらく雇用先もこのことを知っていて求人サイトに掲載しています。
労働賃金は安いに越したことはない!!
当たり前ですよね!!
だから、そんなギリギリの算定方法をとるような職場へは鼻っから行くべきではありません。
ボラバイト掲載料は驚愕の25%
雇用者はサンカネットワークに25%もの掲載費を払います。
成果報酬型で、ただ載せるだけでは料金は発生しません。
ボラバイターが働いた時間や日数をもとに25%が引かれていきます。
雇用主の負担額について説明します!!
が… そもそもこの例がおかしいですね…
時給860円に対して、日給6000円って…
まったくにイコールの関係になっていません。
しかも、最低賃金はどんなに低い所でも790円です。
8時間に換算すると…
790×8=6320円 《-320円》
鼻っから食費・寮費で誤魔化せということなんですかね?
雇用主の負担額は以下の通りです。
雇用者の負担額
☑【時給】860+215=1075
(8時間労働とするならば、一日当たり8600円の負担)
☑【日給】6000+1500=7500
(8時間労働とするならば、一時間あたり937.5円の負担)
この条件であるならば、雇用主はそれなりにお金を払っていますね。
しかし、実際は家賃・食費を加味して賃金が下がります!!
サイト内で多く見られるのは「日給5000円、寮費無料、食事はないが米や野菜の提供アリ」という求人。
「元からあるけど今は使っていないもの」に付加価値をつけてその分を給料から引くというのが経費削減につながってます!!
光熱費はシェアハウス式にすれば安くなると考えると、1労働日当たり7000円前後で労働力が手に入る計算になりますね!!
ポイント
この25%という掲載料は巡り巡って労働者の賃金から引かれていると考えることもできます!!
雇用主がそこを負担しているのかそうでないのかは、時給と寮費の関係で見えてきますので、時給が高めというのは重要な判断基準ですよ!!
サンカネットワークは一切の責任をとらない
サイト内で気になる記述を見つけたので紹介します。
僕としてはその文の意味がよく分かりませんでしたのでちょっと調べてみました…
厚生労働省では職業紹介を以下のように定義しています。
職業紹介とは、職業安定法(以下「法」という。)第4条第1項において、「①求人及び➁求職の申込を受け、求人者と求職者との間における③雇用関係の成立を④あっせんすることをいう。」と定義されています。
※この定義でいう用語の意味は次のとおりです。
①求人:報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めることをいいます。
➁求職:報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることをいいます。
③雇用関係:報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係をいいます。
④あっせん:求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすることをいいます。
出典:厚生労働省東京労働局
運営側としては④あっせん(雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすること)をしていないため、職業紹介には当たらないと言っています。
じゃあ、なんで金もらってるの?
…っていう人もいるかもしれませんが、これは成果型求人広告の報酬として金をもらっているだけのようです。
ウェブサイトで商品を紹介されて、その商品がてんでダメでも責任を追及することはできませんよね?
サンカネットワークはそういう一線を引いたところでビジネスを行っているに過ぎないので、「こちらに文句を言われても困る!」と言うわけです。
要は、運営と雇用主はwinwinの関係を築いて、そこにカモがやってくるからこのビジネスは成功しているといったところ…
おそらく時給に関係なく作業自体はきついことが予想されるので、カモにならないように高時給案件を短期で応募するのがベストかなって思います!!
良心的な就業先以外では応募もしないし働かない、全体でそれを続けることができれば少しは現状が変わるかもしれませんね…
ボラバイトは超単純作業、2,3日で十分戦力化できる!!
ボラバイトは誰でもできる単純作業が中心です。
覚えることも少なければ、同じことを繰り返す作業がほとんど。
力と体力はいりますが、3日もあればそれなりのスピード感を持って仕事ができるようになります。
物覚えの早い人は1日で常人のスピードに達し、2週間後には最速にもなることも十分可能です。
建前は体験に重きをおいたアルバイトとなっていますが、体力があればすぐ常人レベルに達してしまうので、正直ただのアルバイトです…
できればできるほどに割が合わなくなりますので、時給を上げてくれない限り長期勤務は避けた方が良いでしょう。
ボラバイトの低賃金では到底生活はできませんので、仕事のつなぎや経験としてうまく活用していくことをオススメします。
最後に… 良心的なバイト先も確かにあります!!
正直なところ、ボラバイトには賃金不相応な部分があります。
登録する会社もビジネスとして安い労働者を雇う気満々です。
農業求人サイトに載っているものとボラバイトに載っているものでは給料が違う場合も多々あります。
しかし、良心的なバイト先があるのも事実です!!
現に僕はこれまで2度ボラバイトを利用しています。
農業・漁業共に1ヶ月程度ですが、最低賃金+400ほどの価値はあったはずです。
☑【ブロッコリーの収穫】 時給920円、光熱費400円/日 自由出勤
(作業終了後翌日出勤するか休むか選べます)
☑【ホタテの養殖】 時給950円、寮費無料、海産物と米の提供アリ
(出勤朝4:00で昼には仕事が終わります、その後はフリー!!バーベキュー企画してくれたり、回らない寿司奢ってくれたりました(^^))
当たり前の話になりますが、求人によって待遇に大差があるんです!!
「労働に対して不相応」だと判断し、最低賃金で求人を出すことをしない会社も多くあります。
最低賃金ギリギリの求人ではなく、受け入れる器のある雇用主を選んでください。
シャアハウスで同僚と一緒に暮らすのは楽しいですし、新しい土地で生活できるというのも新鮮な体験です。
「日給ではなく時給制で900円前後」かつ「寮費無料」の求人であれば、短期労働としてはまずまずですよ!!
※以下のリンクより「ボラバイトの体験談」をご覧できます!!
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【ボラバイト体験談】ブロッコリーの収穫作業やってきた!!
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