夫:運送、妻:美容。共に個人事業で生きていく事になりました。フリーランスの生々しいリアルを発信していきます。

海外Amazonの品質インセンティブ「Fantastic」から追う|日本DSPのドライバー還元実態

Amazon配送は苦しい。

荷物が多い。
エリアが変わる。
品質を求められる。

できるようになれば、さらに多くの荷物を任される。

僕もAmazon DSPの横乗りを経験した直後は、かなり単純に考えていた。

「Amazon、これはさすがに厳しすぎないか?」

ところが、横乗りで感じた違和感を一つずつ調べていくうちに、話が変わってきた。

Amazonはルートを作っている。
Amazonは配送システムを提供している。
AmazonはDSPに対して投資をしている。

品質を評価する仕組みもある。

オットー

Amazonさん、どんだけ価値を提供しとん💦

海外では「Fantastic」「Fantastic Plus」というDSPの品質評価が広く知られ、それに連動してドライバーへボーナスを還元するDSPもある。

そして日本でも、品質評価に応じたインセンティブをドライバーへ支給すると明記するDSPが実際に存在する。

ただ、このインセンティブ制度の話は、ここ日本においてはあまり耳にしないし、ネット上にも情報はほとんど出回ってはいない。

そこで一つ、大きな疑問が生まれた。

Amazon配送の待遇を決めているのは、本当にAmazonなのだろうか。

目次

Amazon DSPとは何なのか

まず、AmazonとDSPの関係を整理したい。
DSPとは「Delivery Service Partner」。

Amazonから配送業務を受託する独立した配送事業者だ。


Amazon Japan自身も、DSPについて、

ドライバーの契約管理、稼働管理、支払い管理などはDSPが行い、Amazonはインフラやテクノロジーなどの面からDSPを支援する

という役割分担を説明している。

つまり、Amazonがドライバーを直接雇って管理する仕組みではない。

Amazon
↓
DSP
↓
ドライバー

このような一段階が存在する。

ここが非常に重要になる。

Amazonは破格の支援を行っている

Amazonは「荷物を渡して終わり」ではなかった。
AmazonがDSPに提供しているのは、荷物だけではない。

☑ 配送アプリ
☑ ナビゲーション
☑ 配送ルートを生成テクノロジー
☑ 配送拠点
☑ 荷物調達
☑ 事業運営を支援するツール

Amazon Japanが紹介している実際のDSP経営者も、Amazonから配送の仕組み、他社事例、ビジネスモデル、ツールなどについて契約前から支援を受けたと話している。

オットー

配送会社をゼロから作り、案件を受けエリア拡大していくならば、これらは社長自ら開拓していくものだ。

ところがDSPはAmazonのインフラを利用できる。

見方を変えれば、

AmazonはDSPが配送会社を運営するための巨大なパッケージを提供している。

オットー

これだけ用意してもらっておいて、「できません」とは言えないだろう……

「Amazonがルートを決める」と「Amazonが担当者を決める」は違う

僕が横乗りをして特に気になったのが、配送エリアだった。

エリアが頻繁に変われば、土地勘が蓄積しにくい。
僕はこれまで宅配を経験してきたが、同じ地域を走り続ける効果は非常に大きい。

マンションの入口。
宅配ボックス。
駐車場所。
抜け道。
渋滞。
家の並び。

これらを覚えることで配送速度は大きく変わる。

だから、

「なぜ固定しないのだろう?」

と思った。

オットー

「信号機のサイクルタイム」や「カーブミラーの位置と死角」
このようなものは毎日走ってないと情報として蓄積されない。


Amazonは確かにテクノロジーを使って配送ルートを作っている。

しかし、

Amazonが配送ルートを生成すること

と、

どのドライバーにそのルートを担当させるか

は別の話だ。


Amazon公式が公開しているDSP運営の紹介でも、Amazon側で当日の配送ルートが確定した後、DSP側で各ルートや車両をドライバーへ割り当てる運用が紹介されている。

つまりAmazonのルート生成は、

DSPから配車業務を奪う仕組み

というより、

DSPの配車業務を支援する技術

とも考えられる。

オットー

配車には時間がかかるし、不平不満も出る。
だから、配車支援として自動生成サービスなんよ。

Amazon配送でも「ほぼ固定エリア」の会社はある


そして実際、Amazon配送でも固定エリアを掲げるDSPの求人は存在する。

つまり、

「Amazonだから毎日違う場所を走る」

とは限らない。

DSPによって運営方法が違う。

ここから一気に話が変わる。

固定エリアにすると、ドライバーは土地勘を蓄積できる。

土地勘が増えれば、

配送速度が上がる。

誤配リスクを下げやすくなる。

駐車場所を探す時間が減る。

マンション攻略が速くなる。

結果として、

同じ労働時間で処理できる荷物量が増える。

これは単なる「ドライバーへの優しさ」ではない。

配送会社の生産性向上そのものだ。

オットー

生産性・品質・安全管理、その全てにおいて、固定エリアの方が理に適っている。
Amazonが勝手に決めているといえば、ドライバーには説明しやすいだろう、でも、本来、Amazonは支援として「エリアの割り当て」を仮組みしてる。

日本でも「品質インセンティブ」を出しているDSPがある

ここで非常に面白い求人を見つけた。

AmazonオフィシャルパートナーDSP2.0として募集している株式会社T.T.Dの求人では、

「スコアカード獲得で+6円」

というインセンティブが掲載されている。

条件として、

配達完了率。

運転マナー。

欠車。

誤配。

など品質に関係する項目も記載されている。

さらに別の同社求人では、

Amazonブランド車両を無償レンタル

自動車保険付き

ガソリン代保証

まで明記されている。

つまり少なくとも日本でも、

Amazon配送=日当だけ

ではない。

品質評価をドライバー報酬へ反映するDSPが実際に存在する。

オットー

スコアカード……笑

最低保証+ガソリン代+品質インセンティブのDSPもある

さらに、AmazonオフィシャルDSP2.0を掲げるSKIP合同会社の求人を見ると、構造はもっと分かりやすい。

掲載されている条件では、

1日21,500円が最低保証。

そこに、

品質インセンティブ

インボイス補助

ガソリン代

などを追加するとしている。

求人では日給23,000円以上を目指せるという説明もある。

重要なのは21,500円という金額そのものではない。

最低保証とは別に、品質と燃料を扱っていることだ。

品質が上がればインセンティブ。

走れば必要になる燃料費も別途考慮。

こういうDSPも実在する。

では、なぜ同じAmazon配送でも条件が大きく違うのだろう。

オットー

怪しくなってきたぞ

海外では「Fantastic」「Fantastic Plus」が存在する

海外のAmazon DSPについて調べると、さらに分かりやすい。

DSPにはPerformance Scorecardと呼ばれる品質評価があり、

Fantastic

さらに上位の

Fantastic Plus

という評価が使われている。


2025年のScorecard変更を解説するDSP向け資料では、100点換算でFantastic、Fantastic Plusの基準が設定されていることも確認できる。

評価には配送品質だけでなく、安全運転や配送完了など複数の指標が関係する。


つまりAmazonは、

「とにかく荷物を運べばいい」

とは考えていない。

品質の高い配送組織を評価する仕組みを作っている。

オットー

海外と同じようなインセンティブ制度があるとは限らない。
でも、求人からインセンティブがあることは確認できる。

Fantastic Plusを取ると、誰が得をするのか

ここからが重要だ。

海外のDSPドライバーコミュニティを見ると、

Fantastic Plusを獲得した際に、ドライバーへボーナスを還元するDSPが実際に存在する。

☑ 1個配達するごとに一定額を追加する
☑ 一定額の週間ボーナスを出す
☑ Fantastic Plus達成時にチームへ還元する

一方で、

Fantastic Plusを取ってもドライバーには何も支給されない

という体験談も存在する。



ここが非常に重要だ。

Amazonの品質評価制度が同じでも、DSPによってドライバーへの還元方法が違う。

なお、海外掲示板には「Fantastic PlusでDSPに○万ドル入る」といった具体額の書き込みも多数あるが、Amazon公式資料で同一条件・金額を確認できないため、この記事ではその数字を事実として扱わない。

重要なのは金額ではない。

DSPの品質評価と、それをドライバー報酬へ連動させる運営が実際に存在する

という点だ。

Amazon自身が「DSPへの増額はドライバー待遇向上のため」と説明している

そして、この話を裏付けるもっと重要な資料がAmazon自身から出ている。

米国AmazonはDSPプログラムへの投資を継続的に増やしている。

2026年9月には、2027年に向けてさらに19億ドルをDSPプログラムへ投資すると発表した。

Amazon自身が、その目的の一つとして、

DSPが優秀な人材を採用・定着させられるよう支援すること

を挙げている。

さらにAmazonは、

DSPへ支払うレートを増やすことで、ドライバー給与を引き上げることを支援する

と説明している。



オットー

これ、めっちゃ重要。

Amazonは、

DSPへの投資
→ ドライバー待遇改善
→ 優秀なチームの採用・定着

という方向を明確に示している。

ただしAmazon自身も、具体的にどのように事業やチームへ投資するかは各DSPが決める、と説明している。

ここにDSP経営の差が生まれる。

これは2026年だけの話ではない。

Amazonは過去にもDSPのRate Card、つまりDSPへ支払う報酬を引き上げてきた。

2023年には、DSPのRate Card引き上げとボーナスへ6億6,000万ドルを追加投資すると発表。

その目的についても、同様の意図があったと考えられる。

Amazon側の意図はかなり分かりやすい。

優秀なドライバーに荷物が増えるのは悪いことなのか

Amazon配送では、能力が上がれば多くの荷物を処理できるようになる。

これは一見、

「できる人間ほど仕事を増やされる」

ように見える。

しかし、本当の問題はそこではないと思う。

例えば、

170個を8時間で配達して21,500円。

経験を積んで、

200個を8時間で処理できるようになる。

さらに品質インセンティブによって23,500円になったとする。

時給は、

21,500円 ÷ 8時間
= 約2,688円。

23,500円 ÷ 8時間
= 約2,938円。

さらに固定エリアへの習熟によって200個を7時間で処理できれば、

23,500円 ÷ 7時間
= 約3,357円。

荷物は増えている。

しかし、

時給も上がっている。

これならドライバーにも成長するメリットがある。

一番まずいのは「荷物だけ増える」こと

逆に、

170個・19,000円。

上達する。

200個・19,000円。

となったらどうだろう。

ドライバーが生み出した生産性向上を、本人がほとんど受け取れない。

さらにエリアまで毎日変われば、せっかく得た土地勘も活かしにくい。

これでは、こうなってしまう。

上達する
↓
仕事量だけ増える
↓
荷物だけ増える

しかし、

固定エリア。

品質インセンティブ。

燃料支援。

早く終われば終了。

という設計なら、



上達する
↓
配送能力が上がる
↓
品質も上がる
↓
報酬が上がる
↓
時給が上がる


好循環を作れる。

同じ「200個」でも意味がまったく違う。

オットー

欠員が出たとき、誰が走るのか。
社員だよね、固定エリアにしてしまった時、それが難エリアだったら。
配車にも人件費はかかる、だったら、そのまま現場に流しちゃえ…

Amazonが本当に欲しいものは何なのか

Amazonには膨大な荷物がある。
そのすべてをAmazonの配送ネットワークだけで処理できるわけではない。

だから外部のヤマト・佐川・日本郵便等の配送会社も利用する。
しかし、自社ネットワークの配送能力が増えれば、Amazon自身でコントロールできる配送量も増やせる。

そのために必要なのは、
大量の使い捨てドライバーではない。

長く働き、高品質で、大量の荷物を安定して処理できる熟練ドライバーだ。

だからこそ、

AmazonがDSPに投資する。

DSPがドライバー待遇を改善する。

良いドライバーが集まる。

定着する。

固定エリアなどで習熟する。

配送能力が上がる。

品質が上がる。

Amazonの配送能力が増える。

DSPの評価も上がる。

インセンティブが増える。

それをドライバーへ還元する。

さらに良いドライバーが集まる。


この循環なら、

Amazon、DSP、ドライバーの利益が同じ方向を向く。





なぜ毎回エリアを変えるのか

固定にはDSP側の管理コストがかかる。

欠員が出る。

荷量が変わる。

エリアによって難易度が違う。

走行距離も違う。

「なぜ自分だけ難しい地域なのか」

という不満も出る。

本気で固定するなら、

エリア難易度。

走行距離。

ガソリン代。

ストップ数。

マンション率。

こうした差まで考えて配車や報酬を調整する必要がある。

これは面倒だ。

一方、

Amazonが作ったルートをそのまま近い形で流し、

日額を一律にして、

車を持ち込みにして、

燃料などをドライバー側に持たせれば、

DSPの管理は圧倒的に簡単になる。



さらに、インセンティブ制度を周知せず、
その利益を会社のものとすれば、

最小限のリスクと管理で、利益を上げていくことは可能だろう。

しかし、

そのコストを負担しているのは、ドライバーなのだ。

最後に、「次世代DSP」という名前の意味

Amazonは2023年、日本で「次世代デリバリーサービスパートナープログラム」を開始した。

従来はすでに配送事業を行っている企業などが中心だったが、対象を拡大。
物流や経営経験がほとんどない人でも、Amazonの支援を受けながら配送事業を始められるようにした。



Amazonがやろうとしているのは、

既存配送会社に荷物をお願いするだけ

ではない。

新しい配送会社そのものを作り、

Amazonの配送ネットワークを拡大することだ。

だからAmazonは、

ルート技術。

管理ツール。

配送ノウハウ。

起業支援。

安全対策。

報酬への追加投資。

まで行う。

それでもドライバーの待遇が悪いなら、どこで止まっているのか



ここまで調べると、最初に持っていた疑問が逆転する。

最初は、

「Amazonはドライバーにちゃんと払っているのか?」

だった。

今は、

「AmazonからDSPに投入された価値が、どれだけドライバーまで届いているのか?」

になった。

ただし、ここは慎重に書かなければならない。

日本のAmazon→DSP間の具体的なRate Cardや品質インセンティブの全額は公開されていない。

したがって、

「DSPがAmazonから受け取った金を抜いている」

とは現時点では断定できない。

しかし、

AmazonがDSPへ投資していること。

Amazonが海外で、その投資目的としてドライバー給与向上や高パフォーマンス人材の採用・定着を明示していること。

日本でも品質インセンティブやガソリン代保証をドライバーへ提示するDSPが存在すること。

海外ではFantastic Plusなどの成果をドライバーへ還元するDSPと、還元しないDSPの双方が存在すること。

ここまでは確認できる。

だから問うべきなのは、

「Amazonが悪いか、DSPが悪いか」

という単純な二択ではない。

良いDSPとは何なのか


僕は今回の横乗りをするまで、

Amazon配送はどこでやっても大体同じだと思っていた。

しかし、そうではない。

ドライバーが確認すべきなのは、

日額だけではない。

固定エリアなのか。

品質インセンティブは存在するのか。

それをドライバーへ還元するのか。

優秀なドライバーをどう評価するのか。


そして、

事故やトラブル時にDSPは何をしてくれるのか。



これらによって、

同じAmazon配送でもまったく別の仕事になる。



Amazonはルートを作る。

でも誰をどう育て、どう配置するかはDSPの仕事でもある。

AmazonはDSPへ投資する。

でも、その投資をどうチームへ使うかはDSPによって違う。

Amazonは品質を評価する。

でも、その成果をドライバーへ還元するかどうかでも差が出る。

だから僕が横乗りを経てたどり着いた疑問は、これだった。

AmazonはDSPという仕組みを作った。

ではDSPは、その役割を本当に果たしているのだろうか。


そして、もう一つ。

Amazonが配送網を強くするために投入している価値は、末端で荷物を運ぶドライバーまで届いているのだろうか。


Amazon配送の問題を考えるなら、

Amazonだけを見るのでは足りない。

その間にいる、

DSPという「最後の一枚」を見る必要がある。

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この記事を書いた人

某理大で火山岩石学専攻。卒業後3年間旅へ、職業訓練を経て機械設計会社に入社。労働条件の乖離で早期退職、直後にコロナウイルス到来。会社に育ててもらおうってのが甘かったと思い、個人で比較的早く即金を作れる軽貨物業界で働くことになりました。現在は、運送しながら、金魚養殖、美容室開業に向け、色々と準備中です。

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