かつては「市場30兆円」という莫大な規模を誇ったパチンコ業界…
カジノ法案の可決から、度重なる規制により客足は全盛期に比べ大幅に遠のきましたが、未だに20兆円と巨大市場を維持しています。
警察との癒着が激しく、客層も健全とは言い難い産業ですが、「バイトとして働くならこれ以上のものは日本に存在しない」と断言できます!!
管理人は学生時代の約2年間、パチンコ店でのバイト経歴があります。
「ブラック企業大賞を受賞した○○○の系列店」からの転職、超ブラックからホワイトへ…
数々の常識が覆りました笑
今回はパチンコバイトの仕事内容とその実態を解説していきます!!
Contents
パチンコ店への応募
当時、超ブラック企業を辞めたばかりの僕は、学生一人暮らしでも不自由なく生きていけるバイトを探していました。
タウンワークやウェブ求人を漁り、色々と検討を重ねるも、仕送りなしで生きていけるような健全なバイトは見つからない。
パチンコ店は儲かる!!
それは勿論知っていましたが、やはりそのイメージは「柄の悪い業界」です。
正直、あまり関わりたくはない縁のない業界だと決めつけてました。
でも、求人を漁れば漁るほど逆になくなっていく選択肢、どんどん絞られていくパチンコ業界への転職。
「理系大学、県外一人暮らし、仕送りなし」という事実が、僕とパチンコ店を強固に結びつける瞬間でした。
タウンワークの後方にまとめられたパチンコ求人の中から、ラクそうな職場に目星をつけます。
実際に行ってみて平日と休日の稼働状況を確認、学生バイトの多く緩そうな店舗に応募しました。
面接はめちゃめちゃ緩かった笑
店長はまさに自然体、お菓子食いながら面接です。
学校生活はどう?
高校時代の部活は何やってたの?
他愛のない世間話をしていたら、「明日、制服合わせするから同じ時間に来てね~」って採用が決まりました。
何の緊張感もない面接、流れるように入社しました…笑
仕事内容
ホールの巡回
パチンコホールでは足を動かすことが仕事です!!
ホールは島単位で管理され、従業員は割り当てられた島を巡回します。
巡回しながら「台清掃」をしたり、「ドル箱の上げ下げ」をします。
パチンコ店は大音量で、喋っても声はかき消されますので、従業員はインカムでコミュニケーションをとります。
ホールでは常にゴトに警戒しています。
ゴトというのは玉やメダルを出すための不正行為のことで、そうやって不正に荒稼ぎする人をゴト師といいます。
ゴトのような馬鹿なことをさせないために、スタッフを巡回させて警戒に当たっているわけです。
※現在では、顔認証システムと台の防犯機能向上により、そんな馬鹿をする人も少なくなりました。
ドル箱の上げ下げ
パチンコというのは玉を飛ばして「スタート」に通過させることによって遊技が成り立ちます。
巷では「回る」とか「回らない」と言われますが、言い換えれば「スタートに入る、入らない」という意味なんです。
遊技台はスタートに玉が入ることによって抽選され、1抽選1回転と捉えます。
例えばミドルスペック「1/319」の台は、おおよそ319回転に1回大当たりを引ける仕様となっています。
大当たりすると玉が排出され、確変に突入すると出玉の排出が継続的に、非突入だと時短中に引き戻さない限り単発でおわります。
「ドル箱を下げる」というのは、玉でいっぱいになったドル箱をさげ、空のドル箱を添えること。
「ドル箱を上げる」というのは、台に玉を全て飲み込ませ空になったドル箱を下げ、お客さんが詰んでいる玉の詰まったドル箱と交換することを指します。
ウチの会社では、ドル箱の上げ下げは一礼するのが基本でしたが、現場ではそんなことやってたらホールが回らないので「失礼します」と一声かけて手をかざしてドル箱の上げ下げをしていました。
一般的なドル箱は約1500~1800玉入るようになっています。
本来であればキリの良い2000玉入るのが好ましいですが、ホールは「出玉感」というのを意識して運営していますので、ドル箱を数多く積むことができるようにあまり玉の入らない箱を意図的に使用しています。
箱詰み
ホールは出玉感を最重要視しています。
どの店にも看板台というものがあり、そこの出玉を疎かにすると「優良店」とは認められません。
出玉感を出すには島の端、角台にドル箱を詰ませるのが効果的です!!
「イベ日は看板機種の角台が熱い」
なんて言われるのは、出玉感を出すために店側がそこに設定を入れたり、出玉管理をしたりするためです。
お客さんがホールに入ってきたときに、一目見て「出てるな!」と思わせるため!!
パチンコ業界ではイベ日と見せかけた回収日、ガセ日を作り、安定的な収益を確保します。
「稼働がある状態でブッコ抜く」というのが一番儲かりますから、それを悟られないように目に付くところに出玉感を出していくのが一般的です。
お客さんも勝負師なので、ガセ日に打ち続けるという無謀なことはしません。
それを悟られないように、少ない出玉を多く見せる手法が必要なわけです。
一般的な箱詰みは座席の後ろに3列詰みする方法です。
ホールは狭いので箱詰み領域は限られているんです。
出玉感を出して際立たせることを「出玉アピール」といい、高さがあればあるほどそれは目立ちます。
3箱 | 土台をしいてその上に2箱、横に1箱 |
6箱 | 土台をしいてその上に4箱、横に2箱 |
12箱 | 土台をしいてその上に6箱、横2列に3箱ずつ |
16箱 | 土台をしいてその上に8箱、横2列に4箱ずつ |
17箱~ | 計数してお客さんにレシートを渡す、または中央通路に出す |
角台はこの手法を斜めに配列するか、ひな壇みたいに広げるかのどっちかです。
ドル箱の隅にはカードを指して、更に高さと幅を持たせます。
計数
お客さんが出した出玉を計数機に流します。
ドル箱を詰む土台は持ち手を挿入でキャリーに変わるので、床に置いてある箱を全部キャリーに乗せて通路の中央を縫うように進んでいきます。
計数機は島端の真横に設置されていて、玉を流すとその玉数が記載されたレシートが印刷される仕組みです。
まずお客さんにお手拭きを差し上げます。
ドル箱を計数機に流し、その間にドル箱を拭き上げます。
計数機は異物が混入しない限りは基本的に止まることはないので、ドル箱5箱一気に盛り上げてその間にドル箱を拭いていくと、せわしなくならなくて済みます。
発行されたレシートをお客さんに渡せば完了です。
店舗によってはICカードをかざすと、カード内に貯玉されるものもあります。
休入り対応
お客さんがお食事に行かれる際、「休入り対応」をします。
休憩は45~60分の店舗が多いです。
その間は台のキープが許されます。
休憩時間を超えると「空台として整理」することになります。
一応、休憩時間は決まっていますが、間に合わなかったからといってすぐに撤去されることはありません。
20分待ってアナウンス、更に20分待って最終アナウンス、その後数分待って撤去という流れでした。
パチンコ店は稼働が全てです。
お客さんがその台を回してナンボなんです。
感覚としては45分で1万円が消費されます、演出がなかったり回らなければもう10分早いでしょう。
空台の整理
パチンコバイトをしていると、玉を上皿に残したまま放置されている台をよく見かけることになります。
また、ペットボトルや缶などを上皿に乗せたまま数十分何事もなく経過している台も見受けられます。
これは何かと言うと、台キープです。
一部のお客さんは「この台回したら来そうだな…」って台をキープしているんですよ。
どの店でも「遊戯者1人に対して1台」というのは大原則です。
先ほど説明したように、稼働ないという状態は売り上げに直結するんです!!
この行為のせいで、その台を打ちたい人がいても打てなくなります。
遊戯者は何気なくやっていることかもしれませんが、店側からしたら営業妨害です。
こういうのは店内アナウンスを即座に流して、10分で戻らなければすぐに撤去してしまいます。
トラブル対応
営業しているとトラブルが多々起きることがあります。
台の上にはデータランプと呼ばれる機械が付いており、そこに呼び出しボタンというものが搭載されています。
呼び出しボタンを押すと、データランプが点灯します。
島端にもランプがあり、このランプもお客さんが呼び出しを行うと点灯したり色が変わったります。
島端ランプとデータランプを点滅を見ることで、従業員はお客さんからの呼び出しを確認するわけです。
スタッフが遊技台に駆け付ける仕組みというのは、ランプを目視したり、他のスタッフからの指示されたり、ホール内で設定された呼び出しアナウンスなどで成り立っています。
トラブルにも色々と種類がありますが、その多くは玉の払い出しがないがほとんどです!!
対応は上から下にかけて確認していくのがセオリーとなっています。
ポイント
❶ レールを叩く
パチンコ台が設置されている島の上にはレールがあり、そこで玉が止まっている場合が多い
❷ ジャバラを振動させる
レールとジャバラの接続部で玉が詰まることがある。
❸台枠との噛み合わせをみる
パチンコ台は台枠にしっかりハマることによってジャバラから玉が送られる仕組みなっている。台裏にはポールペッカーという部品が付いており、これは台の押し込みに対してストッパーを外す仕組みになっている。ポールペッカーがちゃんと作動しているか確認する。
❹パチンコ台に異物が混入していないか見る
パチンコ台の裏側は玉の行方が分かるようにクリアになっている。異物がある場合はストッパーを外して玉を外に逃がし、内部の異物を取り除く
その他の「よくあるトラブルとその対処方法」は以下の通り。
対処法 | |
・サンドが上手く機能しない | 再挿入しなおす |
・玉飛び不良 | カセット内に詰まっているゴミを取り除く |
・ハンドルが壊れる | ハンドル内のバネを付けなおす |
※サンド・玉飛び不良はすぐ対応できますが、ハンドルは配線が繋がっているので下手に障らない方がいいです。
トラブル対応は直接クレームにつながります。
自分でできそうにない場合は、即座に上の人を呼ぶべきです。
大当たり中のトラブルで確変継続のためのV入賞を逃してしまう場合があります!!
すぐに応援を呼びましょう。
その他のお仕事
■ 開店準備
❶ | のぼりや看板の設置 |
❷ | 島、還元機、計数機の稼働 |
❸ | 整理券の配布、整列 |
❹ | お客さんのお出迎え |
■ 閉店準備
❶ | のぼりや看板の回収 |
❷ | 空気清浄機の清掃 |
❸ | 還元期の布変え |
❹ | ラムのクリア |
❺ | パチンコ台の清掃 |
❻ | パチンコ台のメンテナンス |
❼ | 島、還元期、計数機の停止 |
■ スロット
❶ | サンドへのメダル補充 |
❷ | アウトボックスのメダル回収 |
❸ | ホッパー内のメダル調整 |
❹ | 台清掃 |
■ 新台入れ替え:前日
❶ | 入れ替え作業 |
❷ | 試し打ち |
※ホールの清掃関係は業者の方に入っていただきます!!
パチンコバイトの良かった点
圧倒的高待遇、時給1200円スタート
パチンコ店は素晴らしいほど時給が高いです。
1日出勤するだけで諭吉が発生します。
パチンコバイトの日給
■朝番 1200×8= ¥9,600
■遅番 1200×6+1500×2= ¥10,200
実働8時間で1万円、週3日の出勤で12万円ほど稼げます!!
学上の両立も可能です!!
その他にもバイトとは思えないほどの高待遇でした!!
メモ
❶ 有給休暇の取得可能
❷ 交通費支給
❸ 弁当は格安、給料から¥200の天引き
❹ 冬休みや夏休みなど長期休暇の取得
❺ 休憩中も賃金が発生 (お店の好意による)
ブラック大賞居酒屋では、死にもの狂いでオールで働いてやっと同じ金額、快適さも労力もまるで違います。
視野を広げるというのは、非常に大事なことだと痛感しました。
プライベートが充実した
週3回、16:00~24:00の出勤、負担はありませんでした。
新台の入れ替え作業で遅くなっても、深夜1時には帰れました。
お金も十分いただけました。
時間も増えて、労力も減って、プライベートを楽しむ余裕も出てきました。
前職では、学生ながら社員並みの仕事を強要される日々。
大学の授業も合わさり、寝るのが一番の幸せだったように思います。
時給の高いバイトだと無理に働く必要がなくなるんです。
ずっとサークルにも顔を出してなかったんですが、ちょくちょく行くようになりました。
バイト仲間が気の合う人達だった
やはりこれが一番でした。
キャラの濃い人がけっこういたんです笑
僕のいた職場はある意味とても恐ろしい職場で、バイトの先輩は3人いたんですが、3人ともまさかの留年生でした笑
でも、これが逆に良かったんです。
常識にとらわれないというか、無駄なプライドは捨ててる人が多くって、何ていうか気の良い人ばっかだったんですよ。
無駄な争いはせず、うまく場を和ませる感じ、みんな楽しくやってました。
固定概念に縛られてないので、自分は自分、人は人、強要しない自由があって、居心地の良い職場でした。
ちなみに、その後僕も試験日前にバイク事故にあって試験受けれず留年しました…💦
後輩二人も留年し、まさに類は友を呼ぶ状態です。
でも、ここで働いたことに後悔はありません、留年というレアな経験して卒業できたことで色々なことを考える機会にも恵まれました!!
パチンコバイトのこんなところが悪かった
接客指導がとても厳しい
パチンコ店に行ったことがある方なら分かると思いますが、パチンコ店の接客は基本的にしっかりしています。
背筋を伸ばして、大きな声でハキハキと丁寧に、これを長時間維持するのは骨が折れました。
パチンコ店はギャンブルという特性上、どこかしらに苛立っているお客さんがいます。
苛立っているからといって一従業員に対して怒りをぶちまけるというお客さんはあまりいませんが、少しのミスが大きなクレームに繋がる危険性があるんです。
健全ではないからこそ、リスクとなるような行動はしない、させない。
これがパチンコ店の基本的な考えです。
そのため、服装や髪型にも厳しく、風紀を乱す行為は厳しく注意されます。
僕らの店舗では「お客さんより目立つことは好ましくない」という理由で、男性スタッフは黒髪短髪に統一されていました。
女性スタッフはちょっと緩め、パチンコ業界は男社会なので可愛い女性スタッフ見て見ぬフリでした笑
台鍵を貰うまで、ひと苦労
パチンコ店で「台鍵を持つ」というのは、それ相応の責任を求められます。
なぜなら、台鍵ひとつ無くすだけで、パチンコ台の鍵穴を全て総取り換えしないといけないからです。
莫大な費用と労力がかかるので、「絶対に無くさないこと」を前提に鍵をいただきます。
ただ、その鍵の使用を認めてもらうには、ある試験に合格しなければいけないんです!!
「社訓の暗記」です…笑
ホールの端から端、遠くの店長に向かって大声で社訓を唱和します。
チャンスは一日一回、営業終了後に一度だけチャレンジすることができ、ミスったらまた明日です。
一言も噛んではいけないですし、声が届かなくて一言でもあやふやになってもいけません。
一言一句に間違えずにハッキリと届くというのが合格条件でした。
おわりに… 儲かればなんだっていい
結局のところ金がもらえれば不満も減ります。
自分の仕事に対して妥当な賃金がいただければ、大きな文句は生れません。
たったそれだけでいいんです。
多くを求めてはいませんから、搾取を前提に働かせることを止めてもらえるだけで余計なことを考えずに仕事ができます。
今回働いたパチンコ店はとても良心的なお店でした。
バイトにしては接客に厳しかったり髪型の強制がありましたが、福利厚生がしっかりしており、バイトのみならず社員を含めてとても仲が良かった。
仕事に追われるということはなく、みんな心に余裕があったように思います。
「利益を追求するために従業員への搾取に走る」というのは管理者までも疲弊させてしまいます。
誰もそんな雰囲気の中で働きたくはありません。
福利厚生がシッカリしているというのは、思った以上に意味深いものだと感じましたね。
さいごに、「パチンコバイトしたい!」という方に朗報です!!
政府の取り組みにより、パチンコホール内でも禁煙となることになりました。
拡大計数という「ICカードに出玉数を記録する新たなシステム」も広がりをみせ、重たいドル箱を持ち上げる必要もなくなりつつあります。
難聴になることを恐れる人もいますが過度に心配する必要もありません。
人によって影響が出る場合もあるものと思われますが、僕の周りではそのような影響は出ていませんでした。
インカムをつけていることと、台の音量指定が細かくできるようになっておかげで、以前に比べて音量は抑えられています。
割に合わないバイトから卒業したいという方は、是非パチンコ店での勤務をご検討ください!!