失業者の社会復帰を目的とした施設に「職業訓練校」というものがあります!!
期間は数ヶ月~2年間と様々なのですが、その間非常に安価で色々な教育や資格取得ができる教育機関です。
実は僕自身もこの公共訓練にお世話になり、後に機械設計会社に就職しています。
資金のない状態でも教育を受けることができるということで、失業者にとても重宝された制度です。
今回はそんな職業訓練校の「入校までの流れ」と「職業訓練の実態」について解説していこうと思います!!
Contents
職業訓練校の入校までの流れ
職業訓練校は公共の訓練施設なので、国に認めらなければ訓練を受けることができません。
そのために必要な事柄があるんです。
大まかな流れは以下のとおり。
❶ハローワークで求職申請をする
❷職業相談を受け、訓練校入校の旨を伝える
❸訓練校の見学会に参加する
❹ハローワークにて受講申込をする
❺訓練校の選考試験に合格する
❻ハローワークにて入校説明を受け、訓練開始
職業訓練校は「求職者」に対しての支援施設なので、働く意思を示さなければ入校することができません。
スキルアップのためではなく、「就職するため」の入校でなければならないんです。
まずはハローワークの職員と面談をしていきます。
見学会のご案内があるので実際に参加し、その後に選考試験という流れです。
試験自体は大したことはありません、国語・数学の中学レベルの問題です。
大学受験のように、「落とすこと」に重きを置いていません。
公共訓練なので窓は広くされていますよ。
入校式
入校式は訓練校内で行われました。
僕が入校した訓練校は5学科ほどしかなかったので、人数にして100人といったところです。
その科によって定員数や受講人数も違います。
定員割れしている科もありました。
入校式はとても簡易的でした。
校長の挨拶から始まり、代表者の宣誓、職業安定所局長や協同組合長の祝辞など、一般的な学校の入学式と何ら変わりません。
式のリハーサルも開始30分前に軽く打ち合わせした程度、すぐに終わりました。
年齢層としては30代が多かったように思います。
当時、僕が住んでいた地域ではある工場が閉鎖になり、その関係者が訓練によく来ていました。
主婦層が多く、介護職への転職を考えている様子でしたね。
オリエンテーション
入校式の翌日はオリエンテーションを行います。
クラス担当者から校内規則についての簡単な説明を受け、その後指導員からの挨拶があります。
訓練校では専門的な知識を扱うため、指導は外部に委託をしています。
僕らの科では某大学の講師の方に来ていただいていました。
座学と実習、2人の先生にお世話になりましたね。
就職関係のことはクラス担当が行うと思われますが、まさかのここも外注、外部講師を呼んで対応していました。
訓練
訓練には「キャリア」「学科」「実技」の3要素がありました。
要素ごとに割り当てられる時間数が決まっており、指導要領に沿って指導が進められます。
科目 | 時間 | |
普通学科 | 社会・体育・キャリア | 33 |
学科 | 機構学・材料力学・工業力学…など | 205 |
実技 | CAD実習・機械製図実習・パソコン実習…など | 466 |
半年間で約700時間の受講が必要となりますので、授業は詰め詰めでした。
一週間のスケジュールとしては以下の通り。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
1 | 機械製図 | CAD実習 | CAD実習 | 機械製図 | CAD実習 |
2 | 機械製図 | CAD実習 | CAD実習 | 機械製図 | CAD実習 |
3 | 機械製図 | CAD実習 | CAD実習 | 工業力学 | CAD実習 |
4 | 機械製図 | CAD実習 | CAD実習 | 工業力学 | CAD実習 |
5 | パソコン実習 | CAD実習 | CAD実習 | 工業力学 | CAD実習 |
6 | パソコン実習 | CAD実習 | CAD実習 | キャリア形成 | 体育 |
7 | パソコン実習 | CAD実習 | CAD実習 | キャリア形成 | 体育 |
8 | パソコン実習 | CAD実習 |
訓練校は技術を身につける施設なので、基本的に実習メインで授業が進められていきます。
ただ、学科は205時間必要であり、科目も機構学・機械要素設計・工業力学・工業材料・工作法・機械製図…と多岐にわたります。
これら科目はそれぞれに中間・期末テストがあり、だいたい2週間に1回のペースでテストがありました。
内容も機械についてのことですから、当然すべてを指導できるわけもなく、要点を絞った簡易的な説明で1時間の授業で50ページ進むことなんてザラ。
家に帰って毎日3時間復習、そうしてやっとついていけるような感覚です。
実習はかなり楽しかったです!!
3次元CADってゲームと似たような感覚があるので、自身で作ったパーツを組み付けて、実際に動かしてみるっていうのは楽しいもんなんです。
ただ、これは手を動かしてなんぼの世界なので、実習だけでは時間が足りない。
今後働いていくことを前提にして、「何ができるか」「どのコマンドでどう動くか」、それをある程度理解するに過ぎません。
会社によってソフトも違えば、設計物も違うので、仕事の入りを少し円滑にするぐらいの役割にしかなりませんでしたね…
職業訓練校に行って良かった点
スキルを学ぶ上での下地ができた
正直なところ、半年でスキルは身につきません。
ただ、これからスキルを学んでいくうえでの下地はできてきたかなと思います。
この下地があるとないとでは吸収力がまるで違うので、ここでそれを獲得できたのは大きな収穫だと思うんです。
機械設計の話になりますが、CADはそれぞれ癖があり反応速度が違います。
2D、3D、まったくの別物ですし、いくら機械といっても完全ではないのでエラーだって起こります。
正しい図面を書くこともそうですが、確認作業も怠ってはいけない。
ただ、確認ほどスピード感をもってやらないといけないんです。
そのためにはとにかく仕事の質をあげること、当たり前ですが大事なことです。
ショートカットキーを自分で調べながら作業していくと、作業スピードが見違えます。
分からないことはすぐに聞く、知識や経験がない人が悩んだってロクな答えにはたどり着けません。
CADを学ぶ上では、わからないことは人を替えてドンドン聞いていく。
悩むのではなく、試してみながら「色んな手法や知識を取り入れていく」ことが成長の近道だというのが感覚的に分かりました!!
失業保険の延長給付が認められた
訓練受講者には失業保険の延長給付が認められるんです。
僕の失業保険は本来3ヶ月が限度でしたが、訓練受講者ということでさらに3ヶ月給付が伸びました。
しっかりと学べば学ぶほどに、職業訓練期間は時間がドンドン足りなくなっていきます。
なかにはバイトをしながら受講する人もいますが、そんな時間はありません。
就職を前提として働くならばバイトの時間は逆に勿体ない、1年や2年の長期スパンとなるならばその必要性も出てくるかもしれませんが、半年間の受講であれば本末転倒ですよ。
あらかじめ失業保険を申請できる状態で訓練受講すると、学びのための長期的な支援が受けられるので計画的な入校をオススメします!!
就職に繋がった
「職業訓練校に入校し、資格をとって卒業した」という実績はそれなりに評価されます。
赤の素人を雇うよりはよっぽど良い、誰でも分かりますよね。
大抵の仕事はやる気次第でどうとでもなります。
逆にやる気がなければどうにもなりませんね。
新人は技術的にも経験的にも力不足なのは明らかなことですから。
大事なのは「成長力を垣間見させること」と「一緒に仕事ができそう」だと感じさせること。
そして、これまでの自分が行ってきた「何らかの行動」と」「やる気」を見せることです。
今回は「その何らかの行動」というのに職業訓練受講が当てはまりました。
箸にも棒にもかからない状態から、話し合いができる状態に昇格します。
とても意味のある行動です。
職業訓練を受けてみたけどココが悪かった
訓練校側と外部講師の熱が違いすぎる
僕が通っていた訓練校では、放課後残って勉強するということがほぼ禁止でした。
なんせ17:00には完全下校です。
■検定当日、クラス担当が言った言葉です。
■ゴールデンウィークの際に言った言葉です。
冗談めかして言っていたようですが、まったく笑えませんね…
教育は外部に丸投げ、スキルアップのために残ってCADをいじりたい人もいるだろうに、それも許可しない。
仕事と言えば体育の授業で前に出てラジオ体操するくらいです。
外部講師の方は放課後や昼休みも熱心に教育してくださいました。
分からないところは分かるまで根気よくです。
職業訓練校は学ぶための学校ですが、学びに適した環境ではありません。
時間が押しすぎて授業が授業になっていない
1年、2年スパンの長期カリキュラムは分かりませんが、半年間の受講は本当に押しまくりでした。
外部講師も本当はもっとゆっくりと分かりやすく教えていきたいだろうに、なんせ科目数が授業時間に釣り合ってない。
いつもいつも「ごめんね…」と言って授業をしていました。
機械設計をやる上で重要な項目のみやっていく。
もちろん重点的になんてことはできません。
重要項目をサラっとやっていく時間しかないんですよ…
講師は講師なりに考えて授業を進めていますが、絞って教えるったって機械に関する知識を全くの素人が簡単に理解できるわけもない。
正直、授業になっていませんでした…
国は講師陣のこともしっかりと考えて委託してほしいもんです。
おわりに…
職業訓練校は技術を学ぶ場ですが、必ずしも学びに相応しい環境であるとは限りません。
大抵の人は真面目に受講していますが、失業保険延長のために来ているオジサン、世間体が悪いから何となしにきていた女、など別の目的できている人もいます。
国から認められたからと言って、相応しい人が来ているわけではないんです。
職員からは微塵も熱心さは感じませんでしたし、外部講師陣もカリキュラムに追われて「したい授業ができていない」状態になっています。
しかし、就職という点では「職業訓練校卒業」というは意思を示すという意味で有用です。
真面目に受講すれば、それなりの適応力も備わってくるでしょう。
ただ、ここでハッキリ申し上げておきますが、職業訓練を受けたからってスキルにはなりません。
社会に出てもその道のプロというのは少数ですが、多くの人が一人前になるべくして働いています。
今後も「学びの姿勢」と「成長の工夫」が絶えず必要です。
職業訓練は仕事に順応するためのワンクッションとしての働きしかありません。
そうだとしても、職業訓練校に行くことによって確実に人生の選択肢は広がりますので、目的意識を持って訓練生活を送れば、実りの多い日々になることは間違いないでしょう。