軽貨物

下請法解説!「仕事を右から左に受け流す」ムーディ勝山流には気をつけて!!



こんちわ、クロです🐈

今日も相変わらず軽貨物な日々を送っておりますが、軽貨物ドライバーが最低限知っておくべき法律として、「下請法」というものがあることをご存知ですか?

coco
下請法?何ソレ💦



僕ら委託ドライバーは個人事業主として大手運送会社から仕事をもらう訳ですが、ほとんどのドライバーは直契約ではなく、そこに仲介業者が絡んでいます。

大手は中規模会社に人員確保を促し、その会社が僕ら軽貨物ドライバーと業務委託契約を結びます。


そこで問題となるのが、業者と個人のトラブルです。

今回は、下請事業者の強い味方「下請法」についてのお話をしていきます!!



下請法とは?



【下請法】「正式名:下請代金支払遅延等防止法」

下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的とし、立場の弱い下請事業者の利益保護のため、親事業者の優越的地位の濫用を禁止し、公正取引を促す法律


僕ら個人事業主は雇用契約ではなく、業務委託契約を結びます。

業務委託とは、文字通り業務を託す契約のことで、お仕事を振るほうを親事業主お仕事を受けるほうを下請事業主に分類します。

「仕事を与えるほう」と「仕事をいただくほう」とでは、やはりパワーバランス崩れてしまい、不当な内容で業務を受ける下請事業者というものが出てきてしまうものです。


それを抑止するために「下請法」が存在し、公正な取引を守るために弱い立場である下請事業者を守っています!!


親事業者と下請事業者の定義



下請法の対象となる取引は、事業者の資本金規模と取引内容で定義されます。

親事業者と下請事業者間の、資本金規模に一定の開きがある場合のみに適応されます。

適応される場合

  • 親事業者:資本金3億円超えの法人 ⇒ 下請事業者:資本金3億円以下の法人
  • 資本金1千万円~3億円の法人 ⇒ 個人事業主、資本金1000万円に満たない法人

適応されない場合

  • 親事業者:資本金5億円の法人 ⇒ 下請事業者:資本金4億円の法人
  • 親事業者:資本金2000万の法人 ⇒ 下請事業者:資本金1200万の法人


契約に際して資本力に違いがあったり、会社と個人間での取引であったりなど、会社規模が違いすぎると、仕事をハナクソみたいな金額で受けさせる「下請けイジメ」に繋がります。

下請法ではそんな優位性を軽減させるために、法律によって公正な取引を促しています。


下請法の適応取引



下請法が適応される取引には以下4点があげられます。

適応取引

  • 製造委託 『例:自動車ランプの製造(モノづくりをお願いする)』
  • 修理委託 『例:車の修理(修理をお願いする)』
  • 情報成果物作成委託 『例:システム開発やウェブデザイン作成(情報成果物の作成をお願いする)』
  • 役務提供委託 『例:再委託、受けた仕事の全てまたは一部を外注すること(労務・サービスの提供をお願いする)』



物品製造・修理・情報成果物はわかりやすいですが、「役務提供」ってのはややこしいですね…


役務というのは「他人のために行う労務・サービス」を指します。

法律としての範囲制限がないので、あらゆるサービスが役務に該当することになりますね。(建設工事は除きます)


僕ら軽貨物ドライバーの仕事のひとつである「宅配」も、大手運送会社から得た仕事を僕らに再委託しているわけですから、「役務提供委託」に該当するってことです!!


役務提供委託の解説



役務提供委託は、下請法第2条4項により以下のように定義されています。

事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること



以下、役務提供委託に「該当する」「該当しない」を運送業を例に示します。

役務提供委託に該当する

  • 業者Aが大手運送会社○○急便から「○○地域の宅配案件」を受け、その業務を僕ら軽貨物ドライバーに再委託する場合

役務提供委託に該当しない

  • ○○農場から○○レストランへの野菜配送という案件を協力業者Aが持っていて、それを僕ら委託ドライバーに委託する場合。大手運送会社の仕事をいただいてわけではないので、役務提供委託には該当しません。
  • 大手運送会社が直接、僕ら軽貨物ドライバーに○○地域の配送をお願いする場合。大手運送会社が「自ら用いる役務」を委託するわけですがら、これも役務提供委託には該当しません。



役務提供委託に「該当する」「該当しない」は、『自ら用いる役務』という言葉がキーワードとなっています。

法律ではわかりにくく書いていますが、要は『再委託』されているかどうかが肝です!!


会社が元々もっている案件を委託する場合、再委託には当たりませんから、役務提供委託には該当しません。

親事業者から受けた仕事をそのまま下請け業者にやらせる、俗に言うムーディ勝山みたいに「右から左に受け流す」場合に適応されます。


下請法は立場の弱い事業者を守るための法律です。

自分で仕事とった癖に、何の説明もナシに丸投げ、親事業者の優位性を利用して、責任は取らず「マージンだけ抜きますよ」は許しませんってことですね笑


親事業者の義務



下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護のため,親事業者には次の4つの義務が課されています。(以下引用:公正取引委員会より)


1 書面の交付義務(第3条)


 親事業者は,発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務があります。

【3条書面に記載すべき具体的事項】
(1) 親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3) 下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう,明確に記載する。)
(4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
(5) 下請事業者の給付を受領する場所
(6) 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日
(7) 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが,算定方法による記載も可)
(8) 下請代金の支払期日
(9) 手形を交付する場合は,手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
(10) 一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
(11) 電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
(12) 原材料等を有償支給する場合は,品名,数量,対価,引渡しの期日,決済期日,決済方法


2 支払期日を定める義務(第2条の2)


 親事業者は,下請事業者との合意の下に,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず,下請代金の支払期日を物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める義務があります。


3 書類の作成・保存義務(第5条)


 親事業者は,下請事業者に対し製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした場合は給付の内容,下請代金の額等について記載した書類(5条書類)を作成し2年間保存する義務があります。

【5条書類に記載すべき具体的事項】
(1) 下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3) 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は役務の提供の内容)
(4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をする期日・期間)
(5) 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者から役務が提供された日・期間)
(6) 下請事業者の給付の内容について検査をした場合は,検査を完了した日,検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い
(7) 下請事業者の給付の内容について,変更又はやり直しをさせた場合は,内容及び理由
(8) 下請代金の額(算定方法による記載も可)
(9) 下請代金の支払期日
(10) 下請代金の額に変更があった場合は,増減額及び理由
(11) 支払った下請代金の額,支払った日及び支払手段
(12) 下請代金の支払につき手形を交付した場合は,手形の金額,手形を交付した日及び手形の満期
(13) 一括決済方式で支払うこととした場合は,金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日
(14) 電子記録債権で支払うこととした場合は,電子記録債権の額,下請事業者が下請代金の支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日
(15) 原材料等を有償支給した場合は,品名,数量,対価,引渡しの日,決済をした日及び決済方法
(16) 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価を控除した場合は,その後の下請代金の残額
(17) 遅延利息を支払った場合は,遅延利息の額及び遅延利息を支払った日


4 遅延利息の支払義務(第4条の2)


 親事業者は,下請代金をその支払期日までに支払わなかったときは,下請事業者に対し,物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について,その日数に応じ当該未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う義務があります。


親事業者の禁止事項



 親事業者には次の11項目の禁止事項が課せられています。たとえ下請事業者の了解を得ていても,また,親事業者に違法性の意識がなくても,これらの規定に触れるときには,下請法に違反することになるので十分注意が必要です。(以下引用:公正取引委員会より)


禁止事項概要
受領拒否(第1項第1号)注文した物品等の受領を拒むこと。
下請代金の支払遅延(第1項第2号)下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。
下請代金の減額(第1項第3号)あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
返品(第1項第4号)受け取った物を返品すること。
買いたたき(第1項第5号)類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
購入・利用強制(第1項第6号)親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
報復措置(第1項第7号)下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号)有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。
割引困難な手形の交付(第2項第2号)一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。
不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号)下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。
不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号)費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。

【罰則】違反したらどんなペナルティがある?



公正取引委員会による社名公表


下請法違反が発覚した場合、再発防止のために「勧告」「指導」の処分を受けることがあります。ホームページ上で社名を公表され、社会的信用を損ないます。


50万円以下の罰金


親事業者の義務のうち、「発注書面の交付義務」「書類の作成・保存義務」を怠った場合には、50万円以下の罰金が課せられることがあります。また、書面調査報告を無視したり、立入検査を妨害したりと、非協力的にしていると罰金の対象になることがあります。


【終】 下請法を軽んじる会社は「相手の利益を配慮する」気がない?



下請法を軽んじる企業は、パートナーとして致命的です。

シッカリ説明しなかったり、必要な書類を早期に提出しないということは、「相手のことを考えてない」から起きることだと言い換えることができます。


もし、自分が仕事する立場だったとして、「業務内容についてシッカリ説明してもらい、納得して働きたい」と思うのは当然ですね、それを逆の立場で考えられない時点で、ビジネスパートナーしては終わってます。

そのような会社は「相手の利益を配慮する」というビジネスパートナーとして最も大事な要素を欠いており、相手に利益が残らない仕事を一方的に降ってくる可能性が高くなります。


良い関係というのは持ちつ持たれつ、「協力関係」であるから成り立ち、続いていくものであり、その意識のあらわれとして「納得して働いてもらう環境」を構築するのは信頼に値するものです。

その努力もないままにムーディ勝山ばかり増えていっては、終いには右から何もこなくなってしまいます。


僕ら委託ドライバーも「楽なエリアが良い」「金を稼ぎたい」ばかり押し通さず、「委託会社の利益に配慮」できる人間でないとダメですね…笑


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